エッセイ · 現代アート
グレッチェン・ベンダー(Gretchen Bender)「Dumping Core」1984年 / テレビからインターネットへのメディア。
Gretchen Bender. Dumping Core. 1984. / Media from Television to the In.
グレッチェン・ベンダー「Dumping Core」1984年。エレクトロニック・シアター(4チャンネル・ビデオ[カラー、サウンド、13分]、13台のモニター)。ニューヨーク近代美術館。The Modern Women’s Fund。© 2019 Gretchen Bender。Courtesy the Estate of Gretchen Bender
グレッチェン・ベンダーは、ミュージックビデオ、広告、テレビ番組といった商業の領域で働きながら、同時に自らが身を置くメディア文化を批評する芸術を制作した。その仕事の経験から、彼女はテレビをはじめとする最新のマスコミュニケーション技術に懐疑的だった。テレビを、視覚表現と心理的抑圧の次なるフロンティアとみなしていたのである。「メディアは人食いの川だと思っている」と、「Dumping Core」完成の3年後に彼女は語った。「そこには意識も心もない。吸収し、変換することだけ」。
ベンダーは「Dumping Core」を、ライブの電子音楽をともなう演劇的な上演として構想した。現在はギャラリーのインスタレーションとして残り、4本の映像が13台の同期したモニターにさまざまな組み合わせで流れるようにプログラムされている。「メディアを模倣する。でも電流の電圧を思いきり上げて、批評性を外へ吹き飛ばせたらと思う」と彼女は説明している。画面は、繰り返されるテレビのグラフィック、企業のロゴ、広告やテレビ番組や映画から流用した映像で過剰に脈打つ。ベンダーは作品名を、初期のコンピューター用語「コアダンプ(core dump)」からとった。コンピューターがクラッシュする直前のメモリを記録したものである。
グレッチェン・ベンダー「Dumping Core」(1984)