エッセイ · 写真

Abelardo Morell. Camera Obscura.

外は小さな穴から入ってくる。

Abelardo Morell「Camera Obscura」:暗くした部屋の壁に逆さまに映る街の景色

Smithsonian American Art Museum · Smithsonian American Art Museum



部屋がカメラになる

カメラ・オブスクラ、ラテン語で暗い部屋。単純な現象だ。部屋が完全に暗く、一方の壁に小さな穴があると、外の光がそこを通り、向かいの壁に外の景色を映す。上下も左右も逆さまに。あらゆるカメラの原理である。

アベラルド・モレル(Abelardo Morell)は1991年、マサチューセッツ州の自宅で、この原理を使って写真を撮りはじめた。窓を黒いビニールで覆い、小さな開口を切った。そして目が慣れるのを待ち、外の世界が壁に現れるのを眺めた。

だがモレルは眺めるだけで終わらなかった。部屋に大判カメラを据え、部屋と、その壁に映る像の両方を撮影した。映像は淡く、露光は長くなる。結果は、二つの世界を同時に抱える一枚の写真だ。

空っぽの部屋のマンハッタン

このシリーズで最もよく知られる一枚が、1996年の「Camera Obscura Image of Manhattan View Looking West in Empty Room」。現在はスミソニアン・アメリカ美術館の所蔵。モノクロのゼラチン・シルバー・プリントである。

写っているのはマンハッタンの空っぽの部屋。家具もなく、人もいない。壁と天井と床に、西を望む街のビルが逆さまに横たわる。塔は地面に向かって垂れ下がる。空は足元にある。

長く見ていると、目が混乱しはじめる。どれが本物の壁で、どれが映されたビルか。部屋の角がファサードを切り裂く。本物の窓がひとつ、映された何百もの窓の隣にある。内と外が境を失う。

美術館は、この内と外の混ざり合いが、夢や断片的な記憶、あるいは二つの文化のあいだに同時に立つ感覚を呼び起こしうると記している。

二つの場所のあいだに立つ人

この最後の記述には理由がある。モレルは1948年、キューバのハバナに生まれた。1962年、家族とともにアメリカへ渡る。写真を学び、イェール大学でMFAを取得し、ボストンのマサチューセッツ美術大学で長年写真を教えた。

マンハッタンの写真は、スミソニアンの展覧会「Our America: The Latino Presence in American Art」で展示された。その文脈では、街が重なる部屋は移住の像になる。ひとつの場所に暮らし、別の場所を抱え、どちらも同じ壁に現れている。

モレルは自分の来歴を語るためにこれらの写真を撮ったわけではない。だが彼の見方には、その痕跡が残っているのかもしれない。彼は逆さまの世界に慣れている。部屋が四つの壁の内にあるもの以上を抱えうることを知っている。

その後の年月、彼は暗い部屋をホテルの客室へ、オフィスへ、多くの街や風景に面した部屋へと持ち込んだ。そのたびに、同じ古い投影が新しい像を生んだ。

なぜ残るのか

モレルの「Camera Obscura」シリーズは、見る者をカメラの内側へ戻す。ふだん私たちは写真を外から、完成した像として見る。ここでは、像が生まれるその箱のなかに立つ。

同じ原理で、ヴェラ・ルッター(Vera Lutter)は LACMA の展示室をカメラに変え、紙に何か月も直接記録させた。ルッターはネガを残す。モレルは部屋を、その投影ごと残す。

どちらも示している。写真は暗闇から始まることを。そして世界が入り込むには、小さな穴ひとつで足りることを。