エッセイ · 嗅覚アート

チャールズ・グイン(Charles Gouyn)「香水瓶」

Charles Gouyn. Scent Bottle.

わずかな香りを、宝石のように包む。

チャールズ・グイン、花かごを運ぶ女性の形をしたエナメル絵付けの軟質磁器の香水瓶。石をはめた金めっきの金具つき

© Victoria and Albert Museum, London · Victoria and Albert Museum (V&A)



高さ9 cmに満たない少女

この瓶はロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館、ブリティッシュ・ギャラリーにある。高さ8.57 cm、幅およそ3 cm。軟質磁器にエナメルで絵付けし、石をはめた金めっきの金具を備える。博物館はこれを1749年から1760年ごろ、ロンドン製としている。

形は花かごを運ぶ女性。彼女の体がそのまま瓶の胴になる。金めっきの金具が栓を支え、縁を縁取り、小さな石が光をとらえる。V&A によれば、一人の人が自分で使うための香りの液体を入れていた。

大きさが、その使われ方を物語る。一か所に置いておく大きな瓶ではない。手のひらに収まり、持ち歩かれ、集いのさなかに取り出せるほど小さい。

磁器をつくった宝石商

チャールズ・グインは宝石商で、ロンドンに暮らすフランス系ユグノーの家の二代目だった。V&A によれば、チェルシー磁器工房に関わったのち、セント・ジェームズで自らの工房を営んだ。この瓶はそこで作られた。

後の収集家たちは、グインの工房を「Girl in a Swing」と呼ぶようになった。同じ出自と考えられた、ぶらんこに乗る少女の小さな磁器像にちなむ名だ。物語のように聞こえるが、実のところ、いまだはっきりしないものの代わりに置かれたラベルである。

宝石商という仕事が、この瓶について多くを説明する。石をはめた金めっきの金具は宝飾の言葉。小さな大きさ、細部ごとの気配り、間近で見られるように作られていること。そのすべてが、身につける物を作り慣れた人から来ている。

薄い磁器の胴をつくる

V&A は製法をかなり詳しく記している。まず蝋で原型を作る。蝋から鉛の型を鋳る。鉛から石膏の型を作る。型ひとつを得るだけで三つの段階。

それから粘土と水を混ぜたものを、中空の型に流し込む。石膏が水を吸い、内側に薄い磁器の層が残る。十分な厚みになったら、残りを流し出す。残るのは、最初の原型そのままの形をした、中空で薄い壁の胴。

薄い壁は欠かせなかった。香水瓶は中に入れるために中空で、持ち歩くために軽くなければならない。胴はそれから焼かれ、絵付けされ、また焼かれ、そこでようやく金具がつけられた。どの段階も失敗の機会だった。これほど小さな物が、多くの手を経た。

なぜこうした玩具は残るのか

V&A によれば、こうした小さな装飾品は18世紀に「toys」と呼ばれた。大量にヨーロッパ大陸へ輸出され、贅沢品の交易の確かな一部をなしていた。

toy という言葉には立ち止まる価値がある。子どもの遊び道具を意味するのではない。小さく、愛らしく、なくてもよいもの。目を楽しませ、見せるために作られたもの。香りはまさにその仲間にいた。嗅ぎたばこ入れや印章、小さな懐中ケースと同じように包まれていた。

ここからわかるのは、18世紀の香りが鼻だけの事柄ではなかったということ。手の、目の、社会での立ち位置の事柄だった。世界の別の場所でも、香りは客をもてなすために貴い器に入れられた。インドの金のアッタルダンのように。まったく異なる二つの物、ひとつの考え。香りには美しい殻がふさわしい。