エッセイ · 嗅覚アート

ジアバオ・リー(Jiabao Li)。「Menstrual Garden」。

Jiabao Li. Menstrual Garden.

隠された匂いも、匂いである。

ジアバオ・リー「Menstrual Garden」:3Dプリントのタンパク質彫刻と嗅ぐための場所からなるインスタレーション

Olfactory Art Keller · Olfactory Art Keller



ギャラリーのなかの庭

2022年11月17日から2023年1月7日まで、ニューヨークの Olfactory Art Keller は、遠慮のない題名のグループ展を開いた。「Bodies Odors Trauma Disease」。参加したのは四人の作家。ジアバオ・リー、Curatela Placebo、デイヴィッド・ファルスバーグ(David Falsberg)、メアリー・ジョーンズ(Mary Jones)。

ジアバオ・リーの作品は「Menstrual Garden」という。展覧会はこれを、科学的な調査であり、多感覚のインスタレーションであると説明する。その二つの半分は、同じだけ重要である。

リーは、アート、テクノロジー、生命科学のあいだで仕事をする作家である。彼女のプロジェクトの多くは実験室で始まり、ギャラリーで終わる。「Menstrual Garden」もその道をたどる。

周期の三つの匂い

作品の嗅覚の部分は、三つの匂いを再現する。新しい経血。滞った経血。そして作品が生理痛の匂いと呼ぶもの。

最初の二つは物質から来ている。分析し、測り、組み立て直すことができる。三つ目はもっと奇妙だ。痛みには、嗅ぐことのできる固有の分子がない。それを名指すのは作家の選択である。痛みもまた身体の一部であり、そこにあり、ほかの二つの隣に部屋へ持ち込む価値がある、と言うための。

三つの匂いは、三つの瞬間のように並ぶ。始まり。とどまり。身体が声を上げる瞬間。嗅ぐ人は、理解するために月経がある必要はない。身をかがめ、口にしないよう教えられてきた匂いを吸い込むだけでいい。

展覧会はまっすぐな問いを投げかける。経血に特有の匂いを与えているのは何か。作品は文章では答えない。匂いそのもので答える。

十のタンパク質、拡大して

庭の視覚の部分は、3Dプリントの彫刻群である。経血にだけ見られるもっとも一般的な十のタンパク質と、作家自身の経血に含まれる幹細胞から培養したタンパク質をかたどっている。

タンパク質は小さすぎて、ふつうの顕微鏡では形を見ることができない。ギャラリーでは、それらが大きさと量感と影をもつ物になり、庭の植物のように立つ。名前はそこから来ている。

プロジェクトの説明によれば、リーは長い期間にわたって自分の経血のタンパク質を追跡した。そのデータが形になった。作家の身体は、試料であり、主題であり、発表者でもある。

会期中、生化学者クーパー・ガルヴィン(Cooper Galvin)がプレゼンテーションに加わった。作品はこうも問う。経血のなかの幹細胞は、若さの泉を秘めているのだろうか。それは開かれたままの問いであって、約束ではない。

なぜ匂いは隠されるのか

多くの場所で、月経はいまも小声で語られる。ナプキンの広告は、かつて赤の代わりに青い液体を使っていた。その匂いはさらに念入りに、花の香りの層の下に隠される。「Menstrual Garden」はそうした習慣と議論しない。ただ、物質をテーブルの上に置く。

嗅覚アートは、しばしば体臭を扱ってきた。シセル・トラース(Sissel Tolaas)とクリスティーナ・アガパキス(Christina Agapakis)が人の皮膚の細菌からチーズを育てたときのように。リーは、より守られた領域に踏み込む。そして実験室の道具を持ち込むので、作品の率直さは証拠の上に立っている。

庭のあとに残るのは不快さではない。単純な気づきである。この匂いは、ずっとそこにあった。私たちはようやく、それを嗅ぐことを許されたにすぎない。