エッセイ · 写真
サントゥ・モフォケン「The Black Photo Album / Look at Me」
Santu Mofokeng. The Black Photo Album / Look at Me.
一枚一枚の写真は、見られることを選んだ証。
Tate · Tate
見覚えのない写真
サントゥ・モフォケン(1956年から2020年)は、ソウェトで育った南アフリカの写真家。アパルトヘイトの時代を通して仕事をし、そのキャリアの多くはひとつの問いをめぐっていた。写真は南アフリカの黒人について何を語るのか。そして、語っているのは誰なのか。
ソウェトの暮らしについての調査プロジェクトに取り組むなかで、モフォケンは多くの家庭でとても古い白黒写真に出会った。祖父母や曾祖父母の肖像で、写真館で正装して撮られていた。彼はそれらに共感できなかったと語っている。見慣れた黒人のどんな像にも似ていなかった。
その違和感が、彼をこの作品へ導いた。
80枚のスライド
「The Black Photo Album / Look at Me: 1890 to 1950」は1997年のヨハネスブルグ・ビエンナーレで初公開された。暗い部屋で順に映される、80枚の白黒35mmスライドによるプロジェクション。その約半分は、南アフリカ各地の九つの家族のアルバムから取った写真のスキャンで、モフォケンがデジタルで手を加えている。
写された人々は、1890年から1950年に撮影された中産階級の南アフリカの黒人たち。彼らは自ら写真家に注文した。ヴィクトリア朝の肖像の作法で立ち、座る。スーツ、糊のきいた襟、長いドレス、背もたれの高い椅子、描かれた背景。多くは当時の写真館の流儀で修整されていた。
この作品はいまテートのコレクションにあり、テート・モダンで展示された。テートが所蔵するスライド作品のひとつで、その形式の映写機とフィルムはゆっくりと姿を消しつつある。
対抗アーカイブ
これらの家族写真がなぜ重みをもつのかを知るには、同じ時代にアフリカの人々の像がふつうどう作られていたかを思い出すとよい。大半は外部の者によるものだった。人類学者、宣教師、ヨーロッパの買い手向けの絵葉書業者。写された人々は観察され分類される対象だった。彼らは何も選ばなかった。
モフォケンのアルバムはその逆をいく。ここにある肖像はどれも、南アフリカの黒人が自分の像を自ら注文した瞬間だ。いちばん良い服を、もっとも威厳ある姿勢を選んだ。名前と家と地位をもつ人として見られたかった。研究者はこの作品を、アフリカの人々の見た目についての固定観念に対置される対抗アーカイブと呼ぶ。
こうも問える。なぜヴィクトリア朝の作法なのか。それは植民地権力の視覚言語だった。それを使うことで、写された人々は従いながら、同時に何かを取り返した。モフォケンは彼らに代わって答えない。問いを映写室に開いたまま残す。
私を見て
タイトルは二つに分かれる。「The Black Photo Album」は物を名指す。一冊のアルバム。「Look at Me」は一人称の文だ。語るのは写された人であり、カメラの後ろにいる人ではない。
暗い部屋で、スライドが一枚ずつ現れては消えていく。見知らぬ顔は無視しがたくなる。見る者は彼らの名前を知らない。子孫でさえもう知らないことが多い。けれどまなざしは残り、まっすぐこちらを見ている。
モフォケンはこれらの写真を撮っていない。見つけ出し、もう一度見られるための部屋を与えた。彼の仕事は写真家ではなく、守り手のそれだった。似た身ぶりはニューシャ・タヴァコリアンのイランの写真アルバムにも見られる。そこでも家族のアルバムが、誰に誰の物語を語る権利があるのかを問う場になる。