エッセイ · 嗅覚アート

Abraham Bosse. L'Odorat.

人は花を嗅ぎ、犬は互いを嗅ぐ。ひとつの感覚。

Abraham Bosse「L'Odorat」:庭を見下ろすテラスで花を嗅ぐ優雅な男女、足元に二匹の犬

The Metropolitan Museum of Art, Harris Brisbane Dick Fund, 1926(Open Access、パブリックドメイン) · The Metropolitan Museum of Art



テラスの午後

重いカーテンが引かれ、房飾りで留められている。その下に石畳のテラスがあり、ろくろ細工の手すりの柱には石の球が載る。中央には高い柱がそびえ、画面を二つに分ける。

左では男女が寄り添って立つ。男は羽根飾りのついたつば広の帽子、ダブレット、ふくらんだ半ズボン、リボンで飾ったブーツを身につけ、花を顔へ近づける。女は幅広のレースの襟がついた長いドレスを着て、何か小さなものを庭へ向けている。その後ろで、もうひとりの人物も何かを鼻へ持ち上げている。

男女の足元では、二匹の小さな犬が互いを嗅いでいる。右の階段では、子どもが花の鉢を抱えている。

そのすべての背後に庭が広がる。模様を描く花壇、まっすぐな小道、刈り込まれた木々、散策する小さな人影がいくつか。整然として清潔なフランス式庭園が、最後の並木まで続く。

ボスと日常の五つの場面

アブラハム・ボス(Abraham Bosse)は1602年から1604年ごろトゥールに生まれ、1676年にパリで没した。エッチング作家で、ルイ13世治下のフランスで最もよく知られた版画家のひとり。1645年にはエッチング技法の手引書を出版し、それは何世代にもわたって使われた。

「Les Cinq Sens」、五感は、1635年から1638年ごろに制作され、パリでメルシオール・タヴェルニエ(Melchior Tavernier)が出版した。五枚の版。聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚。それぞれ下部中央の装飾カルトゥーシュに、ラテン語とフランス語で感覚の名が記され、両脇に四行詩が二つ添えられる。ひとつはラテン語、ひとつはフランス語。

このシリーズを際立たせるのは、ボスの場面の選び方だ。それ以前、嗅覚はたいてい古代風の衣をまとった女神や寓意像だった。ボスは、五感を同時代の生活の五つの場面で示した最初期のひとりである。人物たちは裕福なパリの人々が実際に着ていたものを着ている。部屋も庭も家具も、見る者が知っているものだった。

シリーズは当初から成功し、のちの画家たちがカンヴァスや装飾に写した。ニューヨークのメトロポリタン美術館にある刷りは、版の大きさが約25.8×32.5 cmで、1926年に収蔵された。

生き方としての嗅覚

よく見ると、「L'Odorat」は鼻だけの話ではない。ひとつの生き方の話だ。

左のラテン語の詩は、フローラとバラ、ポモナと果実、庭の神々の名を挙げる。右のフランス語の詩は、朝と花のエッセンスを語る。神話は残っている。だが言葉のなかにだけ。像のなかにいるのは、現実の人々だけだ。

では彼らは何をしているのか。庭のいちばん高いところに、いちばんよい服で立ち、まるで自分たちのために選ばれたかのように花を嗅いでいる。ここで香りは富に属する。庭師を要するほど広い庭、模様の花壇に植えられた花、大人たちのもとへ鉢を運び上げる子ども。

それでもボスは鋭い観察者だった。二匹の犬を、飼い主の足元、画面のいちばん手前に置く。五感の図像では、犬はしばしば嗅覚に添えられる。その鼻は人より鋭いからだ。ここで犬たちは単純なことを思い出させる。衣装と作法の下でも、嗅ぐことは依然として体がすることなのだ。

ボスの五感は、17世紀パリの衣装、室内、風俗の記録として読まれることが多い。「L'Odorat」はもうひとつを加える。その時代の人々が、どんなふうに嗅いでいるところを見られたかったかの図だ。ヨースト・アマン(Jost Amman)のような16世紀の五感のシリーズと並べると、嗅覚が象徴の世界を離れ、日常へ踏み出したことがわかる。