エッセイ · 嗅覚アート
エレイン・キャメロン=ウィアー。「Sentry Tactical Like Prey with Evolutionary Eyes of a Predator on the Wing 2」。
Elaine Cameron-Weir. Sentry Tactical Like Prey with Evolutionary Eyes of a Predator on the Wing 2.
ひとつの物が見張りに立ち、匂いはその息になる。
Art in America · Art in America
警告のように長いタイトル
「Sentry Tactical Like Prey with Evolutionary Eyes of a Predator on the Wing」。このタイトルは一行の詩のようにも、読み違えて声に出された軍事用語の記述のようにも読める。
ニューヨークを拠点とするカナダ出身の作家エレイン・キャメロン=ウィアーは、2016年にこのタイトルの作品を2点つくり、1と2の番号をつけた。どちらも大きな彫刻で、約80×40×72½インチ、そばに立つ人より大きい。
2点は、2016年3月に Venus Over Los Angeles で始まった個展「snake with sexual interest in own tail」で展示された。彼女はその準備に約9か月をかけた。
素材の目録
素材のリストは、いくつもの世界の目録のように読める。ステンレス鋼。テラゾー。実験器具。二枚貝の殻。スターリングシルバー。オートバイのバックミラー。ネオンと変圧器。液体キャンドル。雲母。乳香。セプタリアン・ノジュール。
あるものは産業と工学に属する。あるものは自然から来て、とても古い。貝殻、雲母、地質学的な時間をかけて形成され、内側がひび割れて脈となったセプタリアンの石。そして乳香。人が何千年ものあいだ儀式で焚いてきた木の樹脂。
キャメロン=ウィアーはこれらの違いを隠さない。物を並べて置き、それぞれが自らの歴史と神話をひとつの彫刻へ運び込むようにする。
炎、雲母、見返す鏡
彫刻の上には、挽いた乳香を入れた二枚貝の殻と、ガラスのオイルキャンドルがある。いくつかの炎の上には薄い雲母の板がのり、その上で乳香が温められる。樹脂は燃え上がらない。温まり、やわらぎ、匂いを放つ。
そのそばで、オートバイのミラーが炎を映す。バックミラーは後ろを見るためのもの、何があとをついてくるかを知るためのものだ。獲物の目はいつもそれを知る必要がある。
こうして彫刻全体が見張り台のかたちをとる。鏡で周囲を見わたし、炎を守り、匂いで合図を送る。そのまわりを歩く見る人は、誰が誰を見ているのか分からなくなる。
いくつもの時計がある部屋
同じ展覧会では、高さ約6フィートの湾曲したアドベの壁がギャラリーを仕切っていた。そこにはネオン、壁付けの燭台、オートバイのミラー、乳香のかけらの下の小さな炎、拾われた貝殻。「Snake」の作品群は梁から吊るされ、手で切った銅の鱗でできていた。鱗はひとつずつエナメル加工され、本物の蛇の腹から写し取られていた。
乳香は何度も現れ、作品をつらぬく一本の糸になっていた。来館者はすべての素材を見分けられなかったかもしれない。匂いは部屋のどの隅にも届いていた。
これが「Sentry Tactical」を普通の彫刻から分けるものだ。鋼鉄と石は、年で、世紀で時間を測る。キャンドルは時間で測る。雲母の上の乳香は分で測る。その前に立つ人の息で測る。
1年後、キャメロン=ウィアーはロサンゼルスでの展覧会で、別の樹脂ラブダナムを使った。ラブダナムの作品についてのエッセイを参照。