エッセイ · 嗅覚アート

鴨の形の香炉。

Incense Burner in the Form of a Duck.

鳥は声を出さない。香りを吐く。

宋代の青白磁の香炉。輪花形の脚の上、二段の蓮に立つ水鳥

The Art Institute of Chicago、Russell Tyson 寄贈 · The Art Institute of Chicago



蓮の上の鳥

シカゴ美術館は、12世紀、宋代の香炉を所蔵している。高さ19.1 cm、径15.1 cm。美術館の題はこれを鴨と呼ぶ。解説では語がもっと広く、水鳥となっている。

下から上へと読む。輪花形の脚が鉢を持ち上げる。鉢の中には、小さな尖った花弁が二段に開く蓮があり、アーティチョークのようだ。蓮の上に、繊細に彫られた水鳥が立つ。

香は下で焚かれた。香煙は鳥の口と、足のあいだにあけられた二つの小さな穴から出ていった。つまり鳥は飾りのつまみではない。香りの出口だ。

これを美術館に寄贈したのはラッセル・タイソンで、彼は陳鳴遠の宜興の三足香炉も寄贈している。五世紀を隔てた二つの香炉が、一つのコレクションを分け合っている。

景徳鎮の青白磁

素材は青銅ではない。美術館の記述は正確だ。青白磁、釉の下に型押しと彫りの装飾をもつ磁器。青白とは青みがかった白のこと。釉は薄く澄み、溜まったところで青くなる。池の深みの水のように。

美術館によれば、これほど非凡な質の作品は、江西省南東部の景徳鎮の窯に帰せられる。景徳鎮はのちに中国随一の陶磁生産の中心となった。12世紀にはすでに、これほど薄く精緻な物をつくっていた。

釉は主題にふさわしい。水鳥、蓮、そして水の色の釉。何も描き足す必要はない。素材がすでに情景を抱いている。

金属ではなく磁器を選んだことは、物が部屋にどう在るかも変える。青銅は重く暗い。青白磁は明るく、光を内に取りこむように見える。水の色の鳥から出る淡い灰色の煙。すべてが軽やかだ。

もうひとつの細部。鳥は型押しだけでなく、細かく彫られている。先に刃、あとに釉。青白磁では、釉は彫られた線に溜まって深い青になりやすい。近くで見ると、彫りは絵の具ではなく、釉の厚みそのものを通して見えてくる。

宋の文人の香り

美術館はこの香炉を特定の社会の中に置く。その控えめな優雅さは、宋の文化的エリートの好みを映している。宮廷の人々、そして新たに富を得た教養ある商人や官僚たちだ。

解説によれば、宋の詩人や画家は創作をかき立てるものとして香を讃え、目利きたちはその道具を上質な室内調度として大切にした。香りは寺院に閉じこめられていなかった。書斎へ、応接の間へ、机の上へと移っていった。

鳥の香炉は、そうした部屋のものだ。大きくはなく、儀式も求めない。人が長くとどまる場所に置かれ、小さな嘴からゆっくりと均一に煙を放つことを望んでいる。

Penta は、ここで香りが生き物に託されていることに気づく。山でも塔でも抽象的な文様でもなく、鳥。飛び、呼吸するもの。宋の人々は、たとえ想像の中であっても、煙に生きた源をもたせたかったようだ。

その考えは宋よりも長く生きた。三世紀のち、明初の鋳物師たちは鵞鳥の形をした青銅の香炉をつくった。その煙もまた嘴から出ていく。素材も大きさも違う。息は同じだ。