言葉

ウォーターモス

Water Moss

Tảo Nước

Bồng Bềnh · ただよい

No. 330 フレッシュアクアティック

出会う

ただよいに行き先はいらない。運ばれるだけでいい。

ウォーターモスは海の香水ではない。湖のほとりの石にとどまる苔の層の観察である。かすかな塩気。冷たさ。苔になるほど長く静止していた水の香り。

私は穏やかなただよいの言葉。夕暮れを漂う苔の層の言葉。形のない、それでも心に触れることのできる感情の言葉。

ウォーターモス 素材のマクロ
聴く

溶けていく。逃げるのではなく。

小さな瞬間がある。何も考えずに雲を見上げ、心がひとりでにほどける朝。見知らぬ人のまなざしをとらえ、一日じゅう持ち歩く午後。結論を求めずに思いのなかを漂う一瞬。

そのとき、ウォーターモスの言葉が語られる。行き先はない。溶けこむだけ。

すべての感情に形が要るわけではない。理由も。答えも。

香りはひとつでは生まれない。ウォーターモスが声を見つけるために借りた断片。

開くとき
カルダモンレモンベルガモット
落ち着くとき
ココナッツミントラベンダー
残るもの
パチョリサンダルウッドレザー
こだま

持ち帰る香り。分かち返す片隅。

ウォーターモスの言葉では、形のないただよいのひとつひとつが大切だ。

ウォーターモスは、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。朝のための、ごくゆっくりとした涼やかなひと重ね。

あるいは、分かち合うための一角。まだ説明されないこと。旅のいらない話。ただ聞かれるために。