言葉

ホワイトムスク

White Musk

Xạ Hương Trắng

Thầm Thì · ささやき

No. 900 フローラルムスク

出会う

ささやき、やわらかな触れ合い、静かなときめき。それでも果てしなくこだまする。

ホワイトムスクは重いムスクの香水ではない。形のない香りの観察である。肌の香り。音を立てず、注目を求めず、静かな水の下にやわらかな流れを残すだけの香り。

私は声に出さなくていいものの言葉。黙って手を握ることの言葉。一拍長く留まるまなざしの言葉。誰も名づけないのに、ふたりとも感じている想いの言葉。

ホワイトムスク 素材のマクロ
聴く

やさしい跡。どんなはっきりした音よりも長く。

小さな瞬間がある。言葉もなく、黙って手を握る夕べ。まなざしを一拍長く留め、そして目をそらす朝。ひとりのためにしまっておく、言葉での返事を求めない感情。

そのとき、ホワイトムスクの言葉が語られる。声は上げない。跡を残すだけ。

すべての感情に披露が要るわけではない。聞かれることも。見られることも。

香りはひとつでは生まれない。ホワイトムスクが声を見つけるために借りた断片。

開くとき
ホワイトムスクイランイランバジル
落ち着くとき
リリーアイリスローズ
残るもの
アンバーバニラベチバー
こだま

持ち帰る香り。分かち返す片隅。

ホワイトムスクの言葉では、ささやきのひとつひとつが大切だ。

ホワイトムスクは、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。音量のいらない一日のための、やわらかなムスクのひと重ね。

あるいは、分かち合うための一角。声に出されなかったこと。見せる必要のない話。ただ聞かれるために。