言葉

檜

Hinoki

Bách Thụ

Lơ Lửng · 浮遊

No. 9091 フローラルウッディ

出会う

ふたつの樹冠のあいだに浮かぶ、答えのない問い。

檜は重い木の香水ではない。切りたての檜材の観察である。新しい木目に閉じこめられた古い森の香り。乾いて。ひんやりと。落ちも昇りもしない息。

私は宙に残された感情の言葉。ふたつの樹冠のあいだにとらわれ、進みも戻りもしない木の息の言葉。まだ口にされない言葉、一拍長く留まるまなざしの言葉。

檜 素材のマクロ
聴く

小さな隙間。心を落ち着かせないのに、ちょうど足りるだけの。

小さな瞬間がある。何かを言いかけて、やめる朝。窓の外を長く見つめ、そっと背を向ける午後。途中で途切れた旋律を抱えたままの一分。

そのとき、檜の言葉が語られる。前へは進まない。戻りもしない。

すべての感情に答えが要るわけではない。結びも。封も。

香りはひとつでは生まれない。檜が声を見つけるために借りた断片。

開くとき
檜カルダモンクローブ
落ち着くとき
バイオレットアイリスジュニパー
残るもの
バニラサンダルウッドレザー
こだま

持ち帰る香り。分かち返す片隅。

檜の言葉では、宙に浮かぶもののひとつひとつが大切だ。

檜は、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。どこへも向かわない時間のための、木目のひと重ね。

あるいは、分かち合うための一角。まだ落ちていないこと。結びのいらない話。ただ聞かれるために。