言葉
オークモス
Oakmoss
Rêu Sồi オークモス
Mơn Mởn · 瑞々しさ
出会う
瑞々しい。胸の左側で芽吹いたばかりだから。
オークモスは青草の香水ではない。古い樹皮にしがみつく湿った層の観察である。暗く。冷たく。樹冠の下で生きる。まだ土ではなく、もう木でもない。
私は始まったばかりのものの言葉。厚い葉のあいだから差しこむ最初の光の言葉。本当の何かを感じはじめたとき、そっと震える鼓動の言葉。
聴く
やわらかく、それでいて生命にあふれて。
小さな瞬間がある。雨上がりの森を歩き、出たばかりの緑の芽に気づく朝。ひとつのまなざしのせいで胸が高鳴り、眠れずにいる午後。メッセージを打っては消す一瞬。怖いからではなく、その感情が内側で静かに育っているから。
そのとき、オークモスの言葉が語られる。育ちきる必要はない。始まったばかりでいい。
すべての新しいものに言葉が要るわけではない。花も。証も。
香りはひとつでは生まれない。オークモスが声を見つけるために借りた断片。
開くとき
グリーンマンダリンカロンベルガモット
落ち着くとき
オークモスナツメグカルダモン
残るもの
ムスクパインチーク
こだま
持ち帰る香り。分かち返す片隅。
オークモスの言葉では、始まったばかりのもののひとつひとつが大切だ。
オークモスは、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。朝の、静かな森のひと重ね。
あるいは、分かち合うための一角。まだ日の当たらないこと。光のいらない話。ただ聞かれるために。