言葉

ウィスキー

Whiskey

Rượu Whiskey

Lâng Lâng · 陶然

No. 9933 アンバーレザー

出会う

陶然。ようやく、証明すべきものは何もない。

ウィスキーは鋭いアルコールの香水ではない。オークのなかで十分に待った液体の観察である。木に刻まれた時間の香り。焦げて。甘く。深く。

私はすべてを持ちこたえた日々のあとに、手放すことの言葉。喉をゆっくりと下りていく煙の渦の言葉。小さなグラスひとつと、もう強く握りしめなくていいことの言葉。

ウィスキー 素材のマクロ
聴く

重さがない。もう抱えるものがないから。

小さな瞬間がある。グラスを掲げて息を吐き、ようやく誰かを喜ばせなくていい夕べ。もうそんなに頑張らなくていいと気づき、そっと微笑む午後。小さなウィスキーを前にひとり座り、これで……足りると感じる一瞬。

そのとき、ウィスキーの言葉が語られる。正しくある必要はない。自分自身であるだけ。

すべての日に無理が要るわけではない。縮こまることも。証明も。

香りはひとつでは生まれない。ウィスキーが声を見つけるために借りた断片。

開くとき
サフランジャスミンペッパー
落ち着くとき
栗グアヤックウッドパチョリ
残るもの
ウィスキーシダーウッドバニラ
こだま

持ち帰る香り。分かち返す片隅。

ウィスキーの言葉では、手放すことのひとつひとつが大切だ。

ウィスキーは、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。夕べのための、焦がした木のひと重ね。

あるいは、分かち合うための一角。まだ熟成していないこと。まっすぐな筋道のいらない話。ただ聞かれるために。