言葉

カルダモンチャイティー

Cardamom Chai Tea

Trà Chai Bạch Đậu Khấu

Mênh Mang · 茫洋

No. 1129 オリエンタルスパイス

出会う

茫洋。悲しくもなく、嬉しくもない。ただ広すぎて名づけられない。

カルダモンチャイティーは甘いスパイスの香水ではない。台所の煙のなかで煮立つやかんの観察である。割れた莢。ほどける樹皮。注がれるミルク。行き先の定まらない煙。

私は抱えきれないほど広い感情の言葉。名もなく台所いっぱいに広がる熱の言葉。通り過ぎるだけで、どこにも留まらないスパイスの言葉。

カルダモンチャイティー 素材のマクロ
聴く

誰も名づけなかった空を漂う。

小さな瞬間がある。誰とも知れない人を思う、冷えた朝。まだ名のない時を思う、雨の遅い午後。コンロのそばで、鍋のなかのカルダモンが割れる音を聞く一分。

そのとき、カルダモンチャイティーの言葉が語られる。急いで鍋を離れることはない。漂うのに足りるだけ。

すべての感情に形が要るわけではない。始まりも。終わりも。

香りはひとつでは生まれない。カルダモンチャイティーが声を見つけるために借りた断片。

開くとき
カルダモンスターアニスベルガモット
落ち着くとき
シナモンジンジャーピンクペッパー
残るもの
タバコバニラレザー
こだま

持ち帰る香り。分かち返す片隅。

カルダモンチャイティーの言葉では、広すぎる感情のひとつひとつが大切だ。

カルダモンチャイティーは、家に持ち帰る香りにもなる。机の上の小さな一角。朝のスパイスのひと重ね。

あるいは、分かち合うための一角。まだ口にしていないこと。前置きのいらない話。ただ聞かれるために。