エッセイ · 写真

ルイス・ボルツ(Lewis Baltz)「The New Industrial Parks near Irvine, California」

Lewis Baltz. The New Industrial Parks near Irvine, California.

何もない壁もまた、ひとつの証言である。

ルイス・ボルツ「The New Industrial Parks near Irvine, California」。正面から撮られた、何もない工場のファサードのモノクロ写真。人はいない

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51点の小さなプリント

「The New Industrial Parks near Irvine, California」は、1974年に制作された51点のモノクロのゼラチン・シルバー・プリントの組作品。一点はわずか20.3×25.4センチ、小さな紙一枚ほどの大きさ。ロサンゼルス現代美術館が全点を所蔵している。ティモシー・A・イートン夫妻(Mr. and Mrs. Timothy A. Eaton)からの寄贈である。

アーヴァインはロサンゼルスの南、オレンジ郡にある。1970年代初め、その周囲には新しい工業団地が次々と建っていた。低い倉庫、平屋のオフィス、駐車場、木のない道路。誰も覚えておく必要のない会社のために、型どおり、急ごしらえで建てられた。

ボルツが撮ったのはまさにそれだった。一枚の壁。閉じたシャッター。雨どいのある角。建物の前の空き地の一角。プリントがほとんど変わらないまま次々と続き、やがて見る者の目がおのずと違いを見つけはじめる。

人もなく、感情もなく

MOCA はこのシリーズを、都市環境へのコンセプチュアルで批評的なアプローチと説明する。写真はまっすぐで、平板で、均一な光のもとにある。劇的な空も、奇抜なアングルもない。

最も目につくのは人の不在だ。美術館はこれを、写真家自身の存在さえも画面から取り除こうとする試みと読む。カメラは態度を持たない測定器のようにそこに立つ。ボルツがこれらの建物を好きだったのか嫌いだったのか、私たちにはわからない。

それでも細部はある。美術館は土の山と、塗りかけの壁に残る印を指摘する。建設の痕跡だ。工業団地に変えられたばかりの土地、そしてその変化はまだ終わっていない。プリントは、建物は立っているがまだ本当には使われていない、その合間の瞬間をとらえている。

New Topographics(ニュー・トポグラフィックス)

ルイス・ボルツは1945年、アーヴァインからほど近いカリフォルニア州ニューポート・ビーチに生まれ、2014年に没した。南カリフォルニアの郊外が広がっていく時代に育ち、このシリーズは故郷が形を変えていくのを見つめる者のまなざしである。

1975年、彼の作品はロチェスターのジョージ・イーストマン・ハウスで開かれた「New Topographics: Photographs of a Man Altered Landscape」に、ロバート・アダムス、ベルント&ヒラ・ベッヒャー、スティーブン・ショアらとともに出品された。MOCA は、ボルツの簡素で客観的なアプローチこそが彼をこの動向に結びつけたと書く。

タイトルが目的を語っている。人の手で変えられた風景。これらの写真家は、理想化された景色から、建てられた環境へと向き直った。グループのなかで、冷ややかさを最も遠くまで押し進めたのはボルツかもしれない。アダムスはまだ光と山を見ていた。ボルツは壁を見た。

壁が見るに値する理由

一見すると、このシリーズは不動産開発業者の記録写真と見まがうかもしれない。けれど何も売っていない。いちばん良い角度も、夕焼けの輝きもない。建物はあるがままに現れる。汎用的で、匿名で、取り替えのきくものとして。

その匿名性こそが主題である。こうした団地はどこにでもあり、あまりに似ているので、私たちは見ずに通り過ぎる。ボルツは、目がいつも滑っていくものの前で、見る者を立ち止まらせる。

50年後、この光景は世界中に広がった。倉庫、物流センター、幹線道路沿いのオフィスパーク。ボルツの小さなプリントは、静かで正確な予告のように読める。良いとも悪いとも言わない。言うのはただこれだけ。これが私たちの建てたもの。見よ。