エッセイ · デザインとしてのファッション
「Fashioned from Nature」。
Fashioned from Nature.
どの服も、衣装だんすから遠い場所で始まる。
© Victoria and Albert Museum, London · Victoria and Albert Museum (V&A)
服と標本
「Fashioned from Nature」は2018年4月21日に V&A サウス・ケンジントンで開幕し、2019年1月27日まで続いた。美術館はこれを、1600年から現在まで、ファッションと自然の複雑な関係を探る英国初の展覧会として紹介した。
展示は風変わりだった。流行の服が、博物学の標本、剥製、未加工の植物と動物の繊維の隣に立っていた。掲げられた目的は、来場者にファッションの素材と自分の服の出どころを考えてもらうことだった。
コートを鳥の隣に置く。簡単な所作だ。けれど、ふだん隠れているものが見えてくる。店では、服はどこからともなく現れたかのように届く。ここでは一着一着がその源に返されていた。
布の表面の自然
十八世紀の品々は、自然を模様として見せる。1780年代のフランスのウエストコート。猿を刺繍した絹に、麻の裏地。1760年代のマンチュアとペチコート。赤い絹に、銀鍍金、銀、青、茶の花を織り出している。ここで自然は、糸でもう一度描かれている。
十九世紀は動物の体をそのまま使った。1868年から1869年頃の英国の綿モスリンのデイドレスは、甲虫の翅鞘と金属糸で飾られている。緑に光る殻がビーズの代わりをする。1890年頃の裾を引く黒い絹サテンのスカートは、機械編みのレースで縁取られ、薔薇が織り出されている。
二十世紀は人がつくり出した素材を加えた。1936年、のちにマダム・グレとして知られるアリックスは、扇形の淡いピンクのセロファンに模造真珠をあしらったイブニングコートをつくった。1946年、リュシエンヌ・ラバテ(Lucienne Rabaté)はルボー(Reboux)のために、ニジキジの羽根を飾ったスエードの帽子をつくった。種名は Lophophorus impejanus。
鳥の学名がキャプションに記されている。小さな細部だが、この帽子がただの帽子ではないことを告げている。ある山脈に生きる一つの種の痕跡でもあるのだ。
源から責任へ
最後の部分は美しさから問いへと移った。1989年、キャサリン・ハムネットは Clean Up or Die のメンズウェアのアンサンブルをつくった。金属の鋲で髑髏と文字をかたどった黒い革のジャケット。題がすでに呼びかけになっている。
現代のデザイナーは別の道を探す。ブルーノ・ピータース(Bruno Pieters)は2017年、Honest By のために、文字を織り込んだ綿とポリエステルの布でパンツスーツをつくった。ケイティ・ジョーンズ(Katie Jones)は2017年、革の端切れと余り糸で装いをつくった。ステラ・マッカートニーは2017年冬のアンサンブルを寄せた。グリーン・カーペット・チャレンジから生まれたカルバン・クラインのドレスは再生素材でつくられ、2016年のメットガラでエマ・ワトソンが着た。G-Star RAW は、Cradle to Cradle のゴールドレベル認証を受けたデニムで2018年のジャケットとジーンズを見せた。
さらに先へ進んだ試みもある。オランダのディアナ・シェーラー(Diana Scherer)は2017年、ドレス「Rootbound #2」をつくった。園芸と仕立てのあいだに立つ作品である。
展覧会は答えを示さなかった。二つのもの、物の美しさとその代償を並べ、来場者に見させた。甲虫の翅のドレスは美しい。それは甲虫でもある。どちらも本当だ。