エッセイ · 写真

ゾーイ・レナード「Al río / To the River」

Zoe Leonard. Al río / To the River.

川は自分が国境であることを知らない。

Zoe Leonard「Al río / To the River」:リオ・グランデ川とその岸辺を写したモノクロ写真

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国境としての川

リオ・グランデ川、メキシコではリオ・ブラボーと呼ばれる川は、長い距離にわたって米国とメキシコの境界として流れる。地図の上では一本の線。地上では、水、砂、葦、季節ごとに形を変える湾曲。

2016年、ゾーイ・レナードはその区間、約1,200マイルに沿った写真プロジェクトを始めた。シウダー・フアレスとエルパソからメキシコ湾まで。区間ごとに旅し、止まっては再開し、約4年のフィールドワークを重ねた。プロジェクト全体は2022年まで、約6年に及んだ。

こうしたプロジェクトが求めるのは、技術よりも時間。1,200マイルの川は一度の旅では撮れない。戻るたびに川はわずかに変わっている。水位は上がり、あるいは下がり、砂州は動き、岸は季節によって色を変える。区間ごとの旅はプロジェクトの制約ではない。それがプロジェクトの見方そのもの。

題名は二つの言語で書かれている。Al río / To the River。名前の時点から、川は両岸のもの。レナードはどちらも選ばない。

岸辺にあるもの

写真の大半はモノクロで、コントラストが強く、ゼラチン・シルバー・プリントで焼かれている。一部はカラーのCプリント。公表された記録によれば、プロジェクト全体は500点を超えるモノクロ・プリントと約50点のカラー・プリントからなる。

写真に写るのは水と岸だけではない。人が川のまわりに築いたものも写る。農地、牧場、国境の通過点、壁の一部、両岸を結ぶ小さな渡し舟、検問所。川はそのすべての横を、流れを変えずに通り過ぎる。

一枚で全体を語る写真はない。ただの水面だけの画面もある。岸辺の構造物を写す画面もある。川を浮かび上がらせるのは連なりであり、断片をつなぐのは見る者。

水が仕事を負わされるとき

プロジェクトの背後にある問いは、単純で、難しい。水の流れが政治の仕事を負わされるとは、どういうことか。水は国境を知らない。流れ、削り、積もらせ、移ろう。それでも法も、柵も、銃も、水に寄りかかる。

レナードは土地と水の写真を、柵や渡河点や検問所の写真の隣に置く。二種類の写真は切り離せない。砂州と壁の一区間は、数歩しか離れていないこともある。川は、生態と歴史と政治が重なる場所。

プロジェクトは結論を出さない。スローガンも差し出さない。川をその実際の長さのまま並べる。ゆっくりと、いくつもの区間に分けて、いくつもの層で。

いくつもの美術館を経て

2022年、Al río / To the River はルクセンブルクのムダム(Mudam Luxembourg)とパリ市立近代美術館(Musée d'Art Moderne de Paris)で展示された。シドニーのオーストラリア現代美術館(Museum of Contemporary Art Australia)にも巡回した。2025年には、テキサス州マーファのチナティ財団(Chinati Foundation)が、川からそう遠くない場所で、南北アメリカでの初展示を行った。

それは意味を持つ。ヨーロッパやオーストラリアでは、川は遠い像。マーファでは、見る者は数時間車を走らせれば岸に立てる。同じ写真でも、像と物との距離はまるで違う。

以前、レナードは「You see I am here after all」で、他人が送った滝の絵葉書を集めた。ここでは自ら歩き、区間ごとに撮影した。どちらの作品も、水と場所について、正反対の方向から問いかける。より近くから、国境なしに見た別の川は、Susan Derges. River Taw.に現れる。