エッセイ · 現代アート
ビル・ヴィオラ(Bill Viola)、キラ・ペロフ(Kira Perov)。「Martyrs (Earth, Air, Fire, Water)」。
Bill Viola, Kira Perov. Martyrs (Earth, Air, Fire, Water).
証人とは、見届けるまで十分に長くとどまる者。
Tate · Tate
側廊の突き当たりの四つの画面
ロンドンのセント・ポール大聖堂、聖歌隊席の側廊の突き当たりに、縦長の細いプラズマ画面が四枚並んで立っている。足早に通り過ぎれば、四枚の祭壇画と見まがうかもしれない。やがて映像が動きはじめる。
これが「Martyrs (Earth, Air, Fire, Water)」。ビル・ヴィオラとキラ・ペロフによる2014年の映像作品だ。テートはこれを、英国の教会や大聖堂に常設された初めての映像作品と説明している。作品はテートの所蔵で、長期貸与としてセント・ポールに置かれている。
キラ・ペロフは数十年にわたりヴィオラのそばで仕事をし、彼の妻でもあった。彼の映像作品の多くを制作し、かたちづくった。この作品で彼の名の隣に彼女の名があるのは、儀礼ではない。誰が作ったのかを正確に記録したものだ。
ビル・ヴィオラは2024年に亡くなった。四つの画面は、いまも毎日同じ場所で灯る。
四人、四つの元素
画面にはそれぞれ一人の人物と一つの元素がある。水では、男が逆さに吊られている。聖ペテロの磔刑の伝説を思わせる姿だ。水はますます重く降り注ぎ、やがて彼はそれを突き抜け、ゆっくりとフレームの外へ昇っていく。
空気では、女が強まりつづける風の中に立つ。体が揺れ、踏みとどまろうともがき、やがて自分が立っていられると悟って、その力の中を進んでいく。
土では、身体が土の下に横たわる。映像は逆回しで進む。土が体の各部から離れていき、人物は地表へと起き上がる。火では、人物が炎に囲まれる。内なる葛藤ののちに光が現れ、人物は混沌の向こうへ抜けていく。
血はない。処刑人もいない。群衆もいない。あるのは一人の人間と一つの自然の力だけ。窓のように細いフレームの中に。ヴィオラは、この作品は外から見えるものではなく、人が内側でくぐり抜けるものについてのものだと語った。
証人
martyr(殉教者)はギリシャ語の証人に由来する。キリスト教の伝統では、殉教者は苦しみを通して最後まで信仰を守った人々だ。ヴィオラとペロフはその核を残し、物語を捨てる。四人の誰にも聖人の名はない。見覚えのある図像も一つもない。
残るのは、行為としての忍耐である。風の中に立つ。土の下に横たわる。火の中で待つ。作品は、見る者が立ち止まらずにいられないほどゆっくりしている。そして十分に長く立ち止まった者は、変化の瞬間を見る。人物がもはや押されるのではなく、動きはじめる瞬間を。
セント・ポールの中で、作品はまわりの建築と語り合う。大聖堂には、何世紀も持つように作られたドームや彫像やモザイクがある。画面ははるかに脆く、電力とソフトウェアと保守に頼っている。それでも画面は、祭壇画がいつもしてきたことをする。人をしばし沈黙の中に留めること。
ヴィオラは生涯、水、火、誕生、死についての映像を作りつづけた。男が火と水にのみ込まれる「The Crossing」のように。「Martyrs」はその静かな版であり、人が美術を見るためではなく祈るために来る場所に置かれている。だからこそ、そこにふさわしいのかもしれない。