エッセイ · 現代アート
ジュゼッペ・ペノーネ(Giuseppe Penone)「Tree of 12 Metres」
Giuseppe Penone. Tree of 12 Metres.
どの板の中にも、まだ一本の木がある。
Tate · Tate
角材、そして木
「Tree of 12 Metres」は、切り倒され、粗く角材に挽かれた一本の木から始まる。建築に使われるような工業用の材。樹皮も枝もなく、まっすぐな木の塊があるだけ。
ジュゼッペ・ペノーネは鑿を手に取り、彫りはじめた。下絵には従わなかった。従ったのは節。節のひとつひとつは、かつて枝が伸びていた場所。それを辿り、年輪を一枚また一枚と剥いで、ペノーネは幹の細い芯と、育ちかけの若い枝へと進んでいった。
目指したのは、木をその生涯のより早い段階のかたちへ戻すこと。伐られた瞬間の木ではなく、何年も前の、まだ細く小さかった頃の木。
現れるのは彫刻であり、同時に、ふだんは木の内側に隠れている自然の過程が目に見えるようになったものでもある。
二つに分かれ、一方は逆さに
テートの作品は1980年から1982年にかけてつくられた。設置すると高さは6メートルを超える。ペノーネは角材の両端を彫らずに残したので、木の上端と下端は四角い材の中に閉じ込められたままである。
角材は縦の中ほどで二つに切られている。それぞれの半分は、手つかずの角材でできた台の上に立つ。その結果、木の上部は逆さになる。沈むように下へ伸び、木材の中へ戻っていくかのように。
二つの半分のあいだに立つと、見る者は二つの状態を同時に見る。こちらには、直線の縁と鋸跡をもつ製材。あちらには、曲線と枝をもつ木。そのあいだの境界が、ペノーネの鑿の線である。
テートは1989年にこの作品を収蔵した。イタリア語の題は「Albero di 12 metri」。
1969年から
1947年生まれのペノーネは、マリオ・メルツとそのイグルーも属したイタリアの運動、アルテ・ポーヴェラと結びつけられる。最初の「Albero」、すなわち「木」の作品をつくったのは1969年。
1970年には、二本の「Trees of 12 Metres」がパフォーマンスとしてつくられた。一本はストックホルムのモデルナ・ムセーエット、一本はミュンヘンのアクツィオンスラウム。初期の木はまだ部分的に角材とつながっており、レリーフのように浮かび上がって、横たえられたり、壁に斜めに立てかけられたりしていた。
やがてペノーネは、芯を丸ごと含む太い角材を扱うことを覚え、支える木をすべて削り落として、木が一本で直立できるようにした。1980年代初めには、角材の短い部分を手つかずのまま残し、そこから若木が立ち上がる台とするようになった。テートの「Tree of 12 Metres」はこの時期に属する。
木の時間、手の時間
多くの作家が伝統的な彫刻の技法から離れつつあった時代に、ペノーネはおそらくもっとも古い技法、彫ることを選んだ。けれど彼はそれを、人や物のかたちをつくるためには使わなかった。遡るために使った。
ペノーネは、もっとも心を惹かれるのは、成長の実際の時間と、木の皮を剥いでいく自分自身の時間との関係だと語っている。木は年輪を加えるのに何十年もかかる。彫刻家はその年月を、自分の速さで、一層ずつ、手で取り戻す。二種類の時間が、ひとつの木の塊の中で出会う。
彼はまた、どの扉にも、テーブルにも、窓枠にも、板にも、木の像が含まれているとも語っている。だから彫るたびに、それは繰り返しではなく、新しい木と新しい物語の発見になる。
テートはこの作品を産業と自然への一つの視点として読む。工業化された世界にあっても、素材への繊細な向き合い方はなお可能である、と。角材は製材所の産物。内側の木は消えてはいなかった。待っていただけ。節をひとつずつ辿るほど辛抱強く、四角い塊の中に生きたかたちが残っていると確信できる誰かを。