エッセイ · 近代美術

トニー・クラッグ「Stack」

Tony Cragg. Stack.

どの層も、置き去りにされた何か。

トニー・クラッグ「Stack」。木、煉瓦、コンクリート、紙、布、金属を水平の層に詰めた立方体

Tate · Tate



捨てられた物でできた立方体

「Stack」は中まで詰まった立方体で、一辺はおよそ2メートル。鋳造されたのでも、彫られたのでもない。積まれたのだ。木、コンクリート、煉瓦、金属、プラスチック、布、段ボール、紙が積み上げられ、きっちりと押し固められて、整ったひとつの塊になる。

素材は建材から古雑誌まで幅広い。長さの違う木材が構造を水平に貫き、すべてを密な地層へと押しつける。横から見ると、立方体は地面の断面のようだ。層のひとつひとつが、ひとつの時代。

1949年生まれのトニー・クラッグは、1975年に「Stack」をつくった。テートは1997年にこれを購入した。美術館の解説によれば、制作にあたってクラッグは雑多な物や素材を手当たり次第に集め、それを堅固な幾何学的構造へと整えた。

塗り直されたものも、隠されたものもない。煉瓦はまだ煉瓦で、紙はまだ紙。新しいのは並べ方だけ。

幾何学と偶然

二つの対立がひとつの塊に同居する。外側は秩序。立方体、まっすぐな縁、直角。1960年代のミニマルな彫刻が頼った形だ。内側は無秩序。たまたま手もとにあったもの。美しさで選ばれたものはひとつもない。

クラッグは無秩序を隠さない。すべての面にそれを見せる。「Stack」の前に立つと、カール・アンドレの煉瓦やミニマリストたちの鋼の箱のような、均質な表面は見えない。見えるのは紙の端、木の小口、割れた煉瓦。ひとつずつ。

テートは「Stack」を、長く忘れられて埋もれたごみの断面に似ていると述べる。その像は地質学的でもあり、考古学的でもある。地質学者は岩の層を読み、地面が何を経てきたかを知る。考古学者は土の層を読み、人がどう暮らしたかを知る。「Stack」は見る人にその両方を求める。自分の時代の物を使って。

風景と都市のあいだに線はない

クラッグは美術に向かう前に科学を学んだ。彼は、風景と都市を区別することを拒むと語っている。彼にとって、私たちが自然界と呼ぶものは、ますます人の手でつくられたものになっている。

「Stack」はそれを形にする。自然の地層は、水と風と何百万年によって積もる。「Stack」の地層は、建設、印刷、交易、廃棄によって積もる。どちらもひとつの土地の歴史だ。違うのは速さと、それをつくった者だけ。

1992年、クラッグは、どの素材もそのまわりに情報の風船をまとっていると語った。木の風船はすでにいっぱいだ。何千年もの用途と物語。プラスチックやほかの工業製品には、ほとんど何もついていない。彼は、実用を超えて、それらの素材のための新しい神話をつくりたかった。

「Stack」が残る理由

「Stack」は初期のクラッグだが、その後のキャリアを通して追い続ける主題をすでに抱えている。自然界と私たちの関係、そして産業がそこに及ぼす影響。テートは、地質学と考古学への参照が彼の仕事のすべてを貫いていると記す。

この作品に長い説明はいらない。前に立てば、物に見覚えがある。自分の家の煉瓦のような煉瓦、今朝の新聞のような一枚の紙。それらはもう使われていない。ほかの物に挟まれて、ただそこに横たわる。

それが「Stack」の残すものだ。私たちが使い、捨てるものはすべて、どこかへ行く。消えはしない。ゆっくりと積もり、いつか誰かが読まなければならない層になる。